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合格体験記 大阪大学基礎工学部システム科学科 I君(筑陽学園高校)

【はじめに】

 僕がGLS予備校に入ったのは高校二年の終わり頃、春休み直前でした。 入るきっかけは、以前通っていた塾で受けたセンター試験同日体験模試の結果の悪さを見かねた母が、偶然新聞に載っていたこの塾を見つけ、入会テストを受けるよう薦めてくれたことです。 入会テストを受けて、訳もわからずただ勉強している状況のまずさを痛感し、入塾を決めました。 当時は九州大学工学部機械航空工学科を志望していて、合格しなかったら浪人することも考えていました。 当時の成績は好きな教科の数学が普通ぐらいでそれ以外はボロボロでした。


○現役時代〜習慣と勉強方法の改善〜

 まず入塾後に苦労したのは、受験勉強の習慣を作ることと勉強方法を改善することです。 僕には自分で勉強する習慣がほとんどなく、学校や塾で授業を受け、出された宿題や小テスト・定期テストの勉強をするくらいでした。 だからこの塾に入ってからは強制的に勉強量を増やすため、放課後や土日は学校にこもって勉強していました。 また授業や課題を通じてしか勉強してこなかったのに加えて詰め込み型の勉強だけをしていたので、教科書の内容や問題を理屈で考えて理解する勉強に慣れることにも重点を置きました。

 しかし、勉強量を増やしても、英語や化学に時間がかかりすぎたり詰め込むべき知識の量に圧倒されたりして、理解する勉強がおろそかになって問題を解く力がほとんどつかず、模試はほとんどD判定という学力で入試当日を迎えてしまいました。 センター試験と二次試験の両方ともボーダーに遠く及ばず、約200点差で九州大学に落ち、前期合格発表の翌日から浪人生活が始まりました。


○浪人時代〜志望変更―知識のインプットと理解する勉強の両立〜

 浪人してまず先生に問われたのは「本当に九大に行きたいのか」ということでした。 塾に入ったときの志望理由は「機械や物作りに興味があるので九大で工学を学びたい」というものでした。 しかし、ただ工学を学ぶだけならほかにも大学はたくさんあり、わざわざ九州大学に行く必要はありません。 「本当に行きたい大学を調べてみて下さい」と先生に言われ、初めて他県の大学について調べました。

 僕は国語が絶望的に出来ないので、理数英ならまだしも国語まで東大・京大レベルに1年でたどり着くのは不可能だと思ったのに加えて、研究内容も自分のやりたいことと近くなかったので、東大・京大は外しました。だから、まず候補として上がったのが東工大でした。 研究内容は自分が興味を持ったことと合っていたし、センター試験も足切りにしか使わないので、実質3教科に特化した勉強ができてぴったりだと思ったからです。

 しかし、自分が興味を持ったのは生物にも関係する工学であり、その場合は単科大よりも総合大学の方が研究しやすいとアドバイスを頂いたので、やりたいこととかなり近い研究をしている大阪大学基礎工学部システム科学科を第一志望と定め、受験勉強を本格的に再開しました。


 勉強の方は現役までで英語と理科の知識は概ね入れていて英語は比較的高得点がとれるといった状態だったので、現役の頃に余裕がなくて出来なかった数学の計算トレーニングや解法の暗記に加え、現役の頃は壊滅状態だった物理を原理から理解する勉強にも集中できました。

 そのおかげか、浪人して初めてのセンター模試で現役時のセンターから90点上がるという幸先の良いスタートを切れました。 記述試験も緩やかではあったものの受ける模試ごとに成績は伸び続け、夏に行われた河合のマーク模試、東北大模試、名大模試、代々木の阪大模試では過去問演習の甲斐もあってかすべてA判定を叩き出しました。 夏の模試は現役生の進度に合わせられるので範囲が狭いのは分かっていましたが、現役時代はD判定が当たり前だったので、かなりうれしかったです。


 ところが、その3週間後くらいに行われたベネッセ駿台センター模試で前回よりも100点近く下がってしまいました。 その模試は例年よりもやや難しくて平均も下がったそうなのですが、それを考慮してもありえないくらい点数が下がったのでかなり動揺しました。

成績の推移を確認するためだけでなく、試験に慣れる意味合いも込めて春、夏、秋は一週間ごとに模試を受ける時があるくらい回数を増やしていたのですが、そのマーク模試から約1ヶ月間だけは記述模試がなかったので、ここまでの記述模試は成績が伸びていることも踏まえ、マーク模試の点数を戻すためにまずは地理を仕上げようと思い、それから2週間ほど、勉強時間の8割近くを地理に振って勉強しました。

 しかし、そのせいで記述模試の点数が下がってしまいました。 夏より広くなった範囲に対応仕切れなかったり、得点源の数学で失敗したりして、秋にあった駿台の九大実戦模試でD判定を叩き付けられました。それからは反省して記述対策の時間を増やしましたが、河合の東北大、阪大模試はどちらもB判定に終わりました。センター試験でアドバンテージを得るほど高得点は望めないのに記述試験が振るわないという状況に、危機感が募っていました。

 しかし、河合の九大模試では英語が8割を超えたおかげですが、成績優秀者に名前を乗せることができました。 これは阪大受験に不安を感じていた自分にとって、かなり自信を与えてくれた出来事でした。


 何やかんやありつつも、センター試験はボーダーより少し低いぐらいに踏みとどまれて、後は二次試験で挽回するだけと思っていたのですが、滑り止めとして受ける同志社の数学が思ったようにとれず、全学部日程に4点差で落ちるというまさかの事態が起こってしまいました。 同志社の学部別日程は受かったので良かったのですが、数学が足を引っ張っていということにはかなり焦りました。

 そこで、二次試験までの2週間は15カ年や解法の突破口をやりながらひたすら過去問を回し、問題を解く感覚を戻すことに専念しました。 試験6日前には体調を崩しましたが、無事に試験は受けることができました。 受けた直後はどっちに転んでもおかしくないと思っていたけど、試験を振り返るほどできなかったところばかり浮かんできたので、1週間後に控える中期試験に向けて翌日から勉強に集中しようとしました。

 しかし、前期の結果発表が中期試験の翌日だったので、試験が近づくにつれて余計なことを考えはじめ、最後の方は早く受験から解放されたいとばかり考えてしまい、気持ち的にダレてしまったのが反省点です。


○浪人時に使用した教材と勉強方法の例

<国語>

アクセス3冊の演習と要約+「きめる!センター現代文」+古文教室古典文法編+マドンナ古典単語+古典文法演習ドリル+8本のモノサシ→センター過去問

 アクセスは現役と浪人の春に解いた。残りは11月以降に取り組んだ。


<数学>

青ニューアクション(基本的な解法が載っているもの)→1対1数学+二次試験過去問(東北大、名大)+合格る確率+合格る計算数V→解法の突破口+二次試験過去問(阪大)→センター模試・本試過去問→解法の突破口+二次試験過去問(阪大)

 1対1数学は解けることはもちろん、理解して制限時間の半分〜3分の1の時間以下で解けるようになるまで繰り返した。 合格る計算2冊は日課として毎日数題ずつ解くようにした。解法の突破口は難易度が高めなので、仕上げるためというよりは解法を知るために使用した。センター対策は模試の場合は一週間前からはじめ、本試験の場合は1ヶ月前から二次対策と並行してはじめ、3週間前からセンター試験のみの対策をはじめた。センターが終わったら一対一数学を一通り見直した後、過去問を解きはじめた。


<物理>

エッセンス2冊+(宇宙一わかりやすい高校物理)→名問の森2冊+二次試験過去問(東北大、名大)→物理の解法研究+二次試験過去問(阪大)→センター模試・本試過去問→二次試験過去問(阪大)

 エッセンスを読む際に考えても分からないところは「宇宙一わかりやすい高校物理」を見るのがおすすめ。センター対策は数学同様。


<化学>

Doシリーズ3冊→化学の良問問題集の復習→化学標準問題精講+二次試験過去問(東北大、名大)→センター模試・本試過去問→二次試験過去問(阪大)

 知識が抜けやすかったので暇なときにDoシリーズを復習した。センター対策は数学同様。


<地理B>

村瀬のゼロからわかる→センター模試・本試過去問

 参考書に出てこない事が模試・本試過去問に出ることもあったので解説を読み込んだ。


<英語>

入門英文解釈の技術70と基礎100+システム英単語(3章まで)の復習→イチから鍛える英語長文500→イチから鍛える英語長文700+二次試験過去問(東北大、名大)→英作文基本300選+特訓ライティング+プラチナルール+特訓リーディング+二次試験過去問(阪大)→センター模試・本試過去問→特訓ライティング+二次試験過去問(阪大)

 英単語は主に移動時間に見直したが、定期的に数時間とって見直した。阪大英語は英作文の割合が大きいので作文に特化して対策したため、特訓リーディングはあまりできなかった。センター対策は数学同様。


<全科目共通>

 どの教科でもケアレスミスが多かったので間違え方をノートに書き出し、毎回勉強やテストの直前に教科ごとで見直しました。初めは見直すのに時間がかかったけれど、だんだん内容を覚えてくるし新しく書き足すミスも減ったので思ったよりきつくありませんでした。 また、主に理系教科の問題集で長時間考えても分からない問題が出てきたとき、次の日解いたら普通にできたということもあったので、解けない問題に固執しすぎるのは良くないと感じました。


○志望理由

 今回阪大に合格できたのは、浪人生になって勉強だけに1年間集中できたのに加え、あらためて志望理由を考え直す機会があったからだと思います。難関大や難しい学部を目指す場合、成績が良い人ならまだしも、これから伸ばさなければならない人にとって、「ブランドが欲しいから」とか「かっこいいから」とか「県内がいいから」などの(その人の程度にもよるが一般的に見れば)弱い理由だけではきつい受験生活に耐え、かつ成績を伸ばすことは、特に現役生にとって大変難しいと思います。

 周りには推薦で受験が早く終わった人や志望を下げる人がいる中で、自分の成績と向き合い続けるとなると、少なからず思うこともあるでしょう。そんなときに心の支えとなるような志望理由が必要なのです。ない人は作りましょう。志望理由は憧れを持ったり、条件で絞ったりすることによって作れると思います。


 憧れとは「たとえそれより高いレベルの大学に行ける学力があったとしても、もしくは何浪することになったとしてもその大学にどうしても行きたい」といった感じのものです。条件で絞るとは、候補の大学をいくつか上げ、入試内容(AO入試や推薦、一般入試だけでなく、難問型で平均点が低い、問題が簡単で平均点が高いといった入試傾向や使用科目なども含む)・研究内容・奨学金制度・学費等について調べて比較することです。

 たとえ今しっかりした志望理由がなくても、小さな理由を複数考える事で志望理由は作り上げられるでしょう。もしできないのであれば、今の志望校は本当に目指すのに値する大学とは言いがたいので、もう一度志望校を考え直す必要があるのかもしれません(もっとも、しっかりした志望理由がなくても受かる人はいるので、絶対に必要だとまでは言えませんが)。

 僕も現役時代はもちろん、成績が上がった浪人時代にも受験に対する不安や焦りは常にありました。それでも乗り越えられたのは、筋の通った志望理由によって割り切れたからだと思います。 ですから、志望理由が弱い人はぜひこの機会に考え直してみてください。


○最後に

 現役の頃から指導してくださった原田先生をはじめ、浪人生活を支えてくれた家族、切磋琢磨しあえた仲間がいたからこそ合格できました。皆さんありがとうございました。